ロードスターと86はどっちが楽しいのか。スポーツカー選びで必ず生まれるこの疑問は、クルマ好きなら一度は考えるテーマではないでしょうか。
軽快で自由なロードスターと、走りの深さを追求した86(GR86)。どちらも素晴らしい車でありながら“楽しさの方向性”が大きく異なるため、迷う人が多いのも当然といえます。
ロードスターは低速から気持ちよさを感じられる一方、86はコーナーで車を自在に操る醍醐味が際立ちます。
街乗りの心地よさ、高速での安定感、峠でのリズム感など、シーンによって印象が変わるのも面白いポイントです。
さらに、車体の大きさや乗り心地、疲れにくさといった実用面でも両車の個性がはっきり現れます。
本記事では「どっちが楽しい?」という問いに正面から向き合いながら、単なる優劣ではなく“楽しさの種類”に注目して比較しました。
皆さんに自分に合った一台が自然と見えてくると同時に、それぞれの魅力をより深く理解できる内容に仕上げました。
スポーツカー選びの参考として、最後まで楽しんでいただければ嬉しいです。
ロードスターと86はどっちが“楽しい”?結論 楽しさの種類が違うだけ
ロードスターと86は、どちらも「最高の1台」になり得るスポーツカーです。
ただし楽しさの方向性が異なるため、感じ方にも違いが生まれます。
この章では、両車の“楽しさの質”に絞って分かりやすく比較していきます。
ロードスターが“楽しい”と言われる理由

軽さ×低速の気持ちよさ ― 日常速度でも楽しめる唯一の存在
ロードスターの最大の魅力は「軽さ」によって生まれるキビキビ感です。
車体が軽いと、ステアリング操作の反応が自然につながり、運転しているだけで“思い通りに走れる感覚”を味わえます。
スポーツカーなのに、わざわざ速度を上げなくても楽しめるのはロードスターならではといえるでしょう。
特に街中やワインディングでは、時速40〜60km程度でも十分楽しいという評価が多く、これは他のスポーツカーでは得にくい感覚です。
軽快さは疲れにくさにも直結し、「ゆっくり走っても気持ち良い」という検索意図にしっかり応える強みになっています。
●ロードスターの“軽さが効く場面”
- 交差点の曲がり角
- ちょっとした車線変更
- 住宅街のゆっくりした走行
- 小さな峠や低速コーナー
どれも特別な環境ではなく“日常の延長”で楽しめるため、スポーツカー初心者でも扱いやすい存在といえるでしょう。
オープンの開放感 ― 走りの楽しさが体験レベルで変わる
ロードスターを語る上で欠かせないのが、オープンカーの開放感です。
屋根を開けるだけで、景色・音・風の流れが一気に変わり、「走る」という行為そのものが特別な体験に変わっていきます。
以下の表は、オープン時とクローズ時の“体感の違い”をまとめたものです。
| 状態 | 体感の魅力 | 走行の楽しさ |
|---|---|---|
| オープン | 風・光・音がダイレクト、非日常 | 低速でも満足度が高い |
| クローズ | 静かで落ち着く、日常利用向け | ハンドリングの軽快さが安定 |
オープンカーは「疲れやすい」という印象を持つ人もいますが、ロードスターは車体が軽いため意外なほど疲れにくいと言われています。
特に春や秋の穏やかな季節は、屋根を開けて流すだけで十分満足でき、運転そのものが癒しになるのも大きなポイントです。
●こんな人にロードスターは“楽しい”
- 景色を楽しみながら走りたい
- 低速の気持ちよさを重視したい
- 運転に“軽快さ”を求める
- 疲れないスポーツカーが欲しい
ロードスターは速さよりも「気持ち良さ」に重きを置いた車であり、その独自性こそ多くのユーザーに“楽しい”と評価される理由といえます。
86(GR86)が“楽しい”と言われる理由

FR×共同開発の完成度 ― コーナーで味わう“一体感”の走り
86(GR86)が高く評価される理由の一つが、トヨタとスバルによる共同開発で磨かれたFRスポーツの完成度です。
軽量・低重心を徹底し、ドライバーが操作したとおりに車が動く感覚が強いのが特徴。
特にコーナーでステアリングを切った瞬間、“スッとノーズが入る”感触は86ならではで、運転手の技量が走りにそのまま反映される気持ちよさがあります。
ワインディングでの一体感はロードスターとは少し違い、より**走り込むほど楽しくなる“深い楽しさ”**があると言われていますね。
●86が評価されるハンドリング特性
- 操舵に対する応答が素直
- 後輪がしっかりグリップする安定感
- ロードインフォメーションが手に伝わる
- 速く走らせるほど気持ちよさが増す
同じFRでも、ロードスターが“軽さの楽しさ”なら、86は“コントロールする楽しさ”が強い車です。
パワー×チューニング性 ― 速さもカスタムも“育てる楽しさ”がある
GR86は2.4Lエンジンとなり、パワーとトルクに余裕が出たことで加速の楽しさが大幅に向上しています。
アクセルを踏んだときの力強さは、日常域でもはっきり体感でき、スポーツ走行では“まだ余裕がある”と思わせてくれる余白が魅力です。
さらに、86(GR86)はカスタム文化と相性が良く、サスペンション・ホイール・マフラー・エアロなど**「育てる喜び」**が感じられる点も人気の理由でしょう。
| 項目 | 86の魅力 | どんな楽しみ方? |
|---|---|---|
| パワー | 2.4Lの力強い加速 | 高速・ワインディングが爽快 |
| ハンドリング | 高グリップで安定性が高い | 攻める走りが楽しい |
| カスタム性 | パーツが非常に豊富 | 個性・性能を伸ばせる |
| 実用性 | 荷物・後席もロードスターより余裕 | 生活との両立も可能 |
●こんな人に86(GR86)は“楽しい”
- コーナーを積極的に楽しみたい
- アクセルを踏んだ時の加速感が欲しい
- 車を自分好みに“仕上げていく”のが好き
- 運転技量が上がるほど楽しさを感じたい
86(GR86)は“速さの楽しさ”“育てる楽しさ”“技量に応える楽しさ”の三拍子が揃っており、スポーツカーらしい深みを求める人には最高の一台になるのです。
どちらが“より疲れる”?街乗り・高速・峠を用途別に比較

街乗りと高速 ― ロードスターは軽快、86は安定。疲れ方の種類が違う
ロードスターと86は、どちらも“疲れやすいスポーツカー”というわけではありません。
ただし、疲れるポイントが異なるため、用途によって印象が大きく変わります。
まず街乗りと高速道路での疲労を比較します。
●街乗り:ロードスターの勝ち(軽快で扱いやすい)
ロードスターは車体が小さく、取り回しが圧倒的に楽です。
狭い道や駐車場ではストレスがほとんどなく、低速で走っていても楽しいため“疲れる前に楽しい気分が勝つ”という特徴があります。
一方、86はロードスターより車体が大きく、街中では少し気を遣う場面が出てくるかもしれません。
車幅や前方の見切りは悪くないものの、住宅街の細い路地ではプレッシャーを感じることもあります。
●高速:86の勝ち(安定性が高く疲れにくい)
高速走行になると構図が逆転します。86は車体剛性が高く、直進安定性も強いため、長距離でも疲れにくい構造です。
ロードスターは軽さゆえに、風の影響をやや受けやすく、速度域が上がると手に情報量が増えるため、長時間の高速はやや疲れやすい傾向があります。
| シーン | ロードスター | 86(GR86) |
|---|---|---|
| 街乗り | 取り回し◎、軽快で疲れにくい | 車体の大きさを感じやすい |
| 高速 | 風の影響が出る場合あり | 安定性が高く疲れにくい |
峠(ワインディング)― 疲れるより“楽しい”が勝つ。ただし負担ポイントは異なる
峠道では、両車のキャラクターが最も分かりやすく現れます。
結果として疲労よりも楽しさが強く出るのですが、疲れやすいポイントは車ごとに別です。
●ロードスターの疲れポイント
- 軽いぶん入力に敏感で、連続したコーナーが続くと手が忙しい
- 上り坂ではパワーが控えめで踏み込み量が増えることも
ただし、ロードスターは低速の気持ちよさが秀逸なため、**無理に攻めず“気持ちよく流せる”**のが大きな利点。
結果、疲れる前に満足感が高まりやすいです。
●86(GR86)の疲れポイント
- コーナーを攻めたくなる車なので、自然と集中力が求められる
- 高性能ゆえに“走らせ甲斐”があり、体力を使いやすい
- ただし車自体は安定するため、精神的な疲れは少ない
ロードスターと86の違い ― デメリットも含め総合比較(どちらも素晴らしい)
ロードスターと86は、同じスポーツカーでも個性や使い勝手に大きな違いがあります。
どちらにも魅力と弱点があり、それらを理解してこそ“自分に合う1台”が見えてくるでしょう。
この章ではデメリットも含め、両車の特徴を総合的に比較していきます。
大きさ・乗り心地・実用性の違い

サイズと取り回し ― ロードスターは“小ささの強み”、86は“安定する大きさ”
ロードスターと86を比較すると、まず明確に違いが出るのがサイズ感と取り回しです。
ロードスターはコンパクトで視界も良く、街中の細い道や駐車場でストレスが少ないのが大きな魅力。
対して86はやや車幅が広く、車体もしっかりしているため、運転姿勢の安定感や直進性能に強みがあります。
以下は実際のサイズ比較です。
| 項目 | ロードスター | 86(GR86) |
|---|---|---|
| 全長 | 3,915mm前後 | 4,265mm前後 |
| 全幅 | 1,735mm前後 | 1,775mm前後 |
| 全高 | 約1,235mm | 約1,310mm |
| 取り回し | ◎ とても扱いやすい | △ やや大きさを感じる |
| 駐車のしやすさ | ◎ | ○ |
ロードスターは軽快性を最大化したサイズで、思い通りに曲がりたい人や街乗りメインのユーザーに向きます。
一方で86は“スポーツカーとしての骨格”がしっかりしているため、高速走行やワインディングで安定した走りを求めるユーザーと相性が良いですね。
●サイズに関する結論
- 街中や住宅街の駐車場 → ロードスターが圧倒的に楽
- 高速や峠で安定さを重視 → 86が安心して走れる
どちらもキャラクターが明確で、用途によって評価が変わる部分といえます。
乗り心地と実用性 ― ロードスターは“軽快”、86は“長距離で疲れにくい”
乗り心地は車の性格をそのまま反映します。
ロードスターは車重が軽い分「しなやかさより軽快さ」を重視しており、段差ではやや硬めに感じることも。
しかし、硬さが不快というより“路面を正確に感じられるスポーティな乗り心地”に近く、走り好きにはむしろ好印象のことが多いです。
一方、86(GR86)はサスペンション構造がしっかりしており、**長距離走行でも疲れにくい“しっとりした乗り味”**が特徴。
車体剛性も高く、振動がうまく吸収されるため、高速の連続移動ではロードスターより余裕があります。
●乗り心地の特性まとめ
- ロードスター
- 軽快でスポーティ
- 固めだが“気持ちよい硬さ”
- 低速でも楽しい
- 86(GR86)
- しっかりした乗り味
- 長距離移動が得意
- 実用性(荷物・後席)も上
実用性まで含めると、86は“普段使いとスポーツを両立したい層”に向き、ロードスターは“気持ちよい走りを最優先したい層”に向いています。
デメリットを正直に比較 ― ただし“魅力の裏返し”

ロードスターの弱点 ― 積載・2シーターの不便さはあるが“走りの純度”の証明
ロードスターのデメリットは明確です。
積載の少なさと2シーターという制約。
日常ユースでは、荷物の量や人を乗せる予定がある場合に不便を感じることがあります。
旅行用の大きな荷物は難しく、カメラ機材・キャンプ用品・ゴルフバッグといった荷物を積みたいシーンでは選びにくい車種です。
ただし、この“割り切り”こそロードスターの魅力でもあるでしょう。
荷物を詰め込むスペースをなくしたことで、車体の軽量化が徹底され、ハンドリングの軽快さや“人馬一体”の走りが成立しています。
つまり、デメリットはそのまま“走りの純度を高めた結果の副作用”です。
●ロードスターのデメリット(=魅力の裏返し)
- 2シーターで人を乗せにくい
- トランクが小さく、積載性は最低限
- 実用車として見ると不便
- しかし → 軽さ・操舵感・低速の楽しさが圧倒的に向上
ロードスターは“必要なものだけ残す”設計思想の象徴であり、その姿勢は昔から続く純スポーツの系譜といえます。
86(GR86)の弱点 ― 実用性は高いが、燃費や維持費はやや負担。それも“スポーツ性”の代償
86(GR86)はロードスターより実用性が高く、4人乗り・そこそこの積載・長距離もこなせる万能型です。
しかし、その反面で燃費や維持費がロードスターより重めになる点がデメリットとして挙げられます。
2.4Lエンジンは力強い走りを生む一方、街乗りではやや燃費が落ち、スポーツ走行ではさらに差が開くでしょう。
また、タイヤ・ブレーキ・オイルなどは“走りを重視したパーツ”を使うため、交換時のコストがロードスターより高くなる傾向です。
●維持費・燃費(目安)
| 項目 | ロードスター | 86(GR86) |
|---|---|---|
| 燃費(WLTC) | 16〜17km/L | 10〜12km/L |
| タイヤ代 | 比較的安い | やや高め |
| メンテ費用 | 低コスト | スポーツカーとして標準〜やや高 |
ただし、これらのデメリットはパワー・安定性・“攻めて楽しい”走りを成立させるためのコストでもあります。
●86のデメリット(=魅力の裏返し)
- 排気量が大きく燃費は不利
- タイヤやブレーキがスポーツ向けで交換費用が高い
- 街中では車体の大きさを感じる
- しかし → パワー・コントロール性・高速安定性が高い
昔のモデルから受け継いだ“スポーツカーらしさ”

ロードスターはNA時代から続く「人馬一体」 ― 軽さと操作の気持ちよさを守り続けた系譜
ロードスターの魅力は、初代NA(1989年)から一貫して受け継がれてきた**「人馬一体」**というコンセプトにあります。
「ドライバーの操作に対し、車がまるで体の一部のように動く」というフィーリングを作るため、ロードスターは昔から“軽さ・コンパクトさ・正確な操舵感”を徹底してきました。
●ロードスターに受け継がれる思想
- 操作した瞬間に車が反応する軽快さ
- 必要以上のパワーに頼らない“気持ちよさの追求”
- 2シーター+小型ボディという伝統的設計
- オープンでも剛性を保ち、“走りの質”を優先
初代NAから現行NDまで、30年以上にわたりコンセプトが揺らいでいないのはロードスターの大きな価値。
“昔のロードスターらしさ”を忠実に継承しているからこそ、現代でも唯一無二の楽しさを持つスポーツカーとして高く評価されています。
86(GR86)はAE86からの“走る楽しさ”を現代風に再解釈したFRスポーツ
86(GR86)は、トヨタの象徴的スポーツカーである**AE86(ハチロク)**の精神を現代に復活させたモデルです。
「運転そのものが楽しい」「車を操る技量がわかる」というAE86の魅力を手本に、共同開発で磨かれたFRパッケージが受け継いだDNAを表現しています。
●AE86から受け継いだ楽しさ
- 軽快で意のままに曲がる操縦性
- パワーよりも“コントロールする喜び”を重視
- 運転がうまくなるにつれ楽しさも増える設計
- カスタム文化に根づく“育てるクルマ”の魅力
AE86は昔から、クルマ好きの入門車・走りの教科書として親しまれました。
GR86はその流れを現代で再構築し、安定性・安全性・パワーアップといった進化を加えつつ、核心となる“走って楽しい”という精神はしっかりと維持しています。
総括:両車とも“昔のDNA”を現代でも色濃く残す、希少な純スポーツカー
現代はSUV・ミニバンが主流の時代ですが、ロードスターとGR86は
「昔ながらのスポーツカーらしさ」
を守り続ける貴重な存在です。
- ロードスター:NA時代からの“人馬一体の軽快さ”
- 86:AE86から受け継いだ“操る楽しさ”
どちらも昔の魅力を現代の技術で進化させた、非常に価値の高いスポーツカーといえるでしょう。
結論 ― ロードスターと86は“楽しさの方向が違うだけ”
この記事のポイント
- ロードスターは軽快さ・低速の気持ちよさ・人馬一体感が魅力
- 86(GR86)は走り込むほど深まる楽しさ・パワーの余裕・コントロール性に強み
- 疲れやすさは車ごとに異なるが、どちらも“疲れにくいスポーツカー”の部類
- 実用性は86が上、気軽な楽しさはロードスターが上
- デメリットはどちらも“魅力の裏返し”であり、純スポーツとして正しい割り切り
- ロードスターはNA時代のDNA、86はAE86の精神を現代に継承
- 結論:楽しさの方向性が違うだけで優劣ではない。目的に合えばどちらも最高の1台
ロードスターと86は、同じFRスポーツでありながら楽しさの質がまったく異なる特別な存在です。軽さを生かし低速でも気持ちよく走れるロードスターは、「運転そのものの心地よさ」を求める人にぴったり。
一方で、パワーとコントロール性を兼ね備えた86は、「走り込むほど味わいが深まる車」を求める人に最適です。
どちらが楽しいかは使い方しだいで変わりますが、どちらも現代では貴重な“本物のスポーツカー”であり、自分の目的に合わせて選べば間違いのない一台といえるでしょう。
参考リンク
