フェアレディZ S30・S31の違いを調べると、専門用語が多くて難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。
とくに初代Zは発売から50年以上が経っているため、当時の背景や排ガス規制の流れまで話が及び、結局どこがどう違うのか分かりにくい印象があります。
そこで本記事では、「最低限ここだけ理解すればOK」というポイントに絞り、S30とS31の特徴や変更点をわかりやすく整理しました。
S30は1969年に登場した初代フェアレディZの中心モデルで、軽快な走りとロングノーズの美しいスタイルが魅力です。
一方でS31は1976年以降の排ガス規制に対応するため改良された後期型で、外観こそ大きく変わらないものの、インジェクション化や補強などが進み“より成熟したZ”へと変化しています。
両者は似ているようで、実は性格がしっかり異なるモデルだといえるのです。
この記事では、難しい技術的な話に踏み込みすぎず、S30とS31の違いを初めて調べる人でも理解しやすい形でまとめました。
購入検討中の方はもちろん、初代Zの歴史を押さえたい人にとっても、基本をつかむ入り口として役立つ内容になっています。
フェアレディZ S30の特徴 ― 初代Zを代表する前期モデルの基礎
S30の発売時期と概要(1969〜中期)

フェアレディZ S30は、1969年(昭和44年)に登場した初代Zシリーズの中心となるモデルです。
当時、日本国内だけでなく海外でも「手頃な価格で買える本格スポーツカー」への需要が高まっていました。
日産はこの流れをつかみ、日本人が手にできる世界水準のスポーツカーを目指してS30を投入します。
その結果、北米市場を中心に大ヒットし、初代Zは世界的な人気を獲得したのです。
S30が評価された理由は、ロングノーズ・ショートデッキの美しいデザインと、直列6気筒エンジンによる力強さの両立にあります。
さらに、当時としては優れた走行性能を備えつつ、価格は比較的手頃で、多くのユーザーが「手の届くスポーツカー」として選びやすい存在でした。
また、前期から中期にかけて複数の仕様が展開され、それぞれに排気量や装備が異なりますが、基本的な魅力は一貫しています。
S30は初代Zの“原点”として、後のS31や240Zなどの派生モデルに受け継がれていったといえるでしょう。
S30のデザインと走り ― 軽快でスポーティな初期Zらしさ

S30の魅力は、誰が見ても“スポーツカー”と分かるロングノーズ・ショートデッキのスタイルにあります。
フロントを長く、リアを短くまとめたプロポーションは、当時の日本車では珍しく、海外の名車と並べても遜色ない存在感を放ちました。
丸みを帯びたボディラインと引き締まったリアの対比は、初代Zの象徴として今も高く評価されています。
まずは特徴を整理すると、次のようになりますね。
■ デザインの特徴(S30)
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ロングノーズ | 伸びやかなフロントでスポーティな印象 |
| ショートデッキ | 後ろを短くして動きのあるフォルムに |
| 丸みのあるライン | 70年代スポーツカーらしい柔らかな造形 |
| シンプルな灯火類 | クラシック感が強く、時代を象徴 |
■ 走りの特徴(S30)
- 車重が軽いため、加速がダイレクト
- ハンドリングが素直で扱いやすい
- 電子制御が少ないぶん「操る楽しさ」が強い
- エンジンの鼓動や音が分かりやすい
これらが組み合わさり、S30は“初代Zらしい軽快さ”を体感できるモデルとして、今でも多くのファンを惹きつけているのです。
S30のエンジン構成 ― キャブレター仕様の“初代Zらしい味”

S30に搭載されたエンジンは、いずれも日産の直列6気筒「L型」エンジンで統一されています。
モデルによって排気量が異なるものの、共通する特徴はキャブレター方式であることです。
電子制御がないぶん、アクセル操作に対して反応がダイレクトで、機械的な“味”を楽しめる点が初代Zの魅力といえるでしょう。
まずはS30で使われた主な排気量をシンプルに整理すると、次の通りです。
■ S30の主なエンジン構成
| 排気量 | 主なモデル | 特徴 |
|---|---|---|
| L20(2.0L) | 日本向け | 取り回しやすいバランスの良さ |
| L24(2.4L) | 海外向け240Z中心 | トルクが増え力強い走り |
| L26(2.6L) | 上位仕様や海外モデル | さらに余裕あるフィーリング |
■ キャブ車ならではの“初代Zらしさ”
- 吸気音やエンジン音の変化が分かりやすい
- アクセル操作が直接走りに反映される
- 現代車にない“アナログ感”が楽しめる
このように、S30のエンジンは性能数字よりも“フィーリング”に魅力があり、初代Zを語るうえで欠かせない要素になっているのです。
フェアレディZ S31の特徴とS30との違い ― 後期型で何が変わったのか
S31とは? ― S30の後期型であり別モデルではないという事実

フェアレディZの「S31」は、しばしば“S30とは別の車”と誤解されがちですが、正しくはS30系の後期型にあたるモデルです。
つまり、S30 → S31という流れで進化しただけで、土台となる基本構造は同じ。
名称が変わった理由は、1976年以降に本格化した排ガス規制へ対応するため、大幅な改良が必要になったからです。
その結果、車体番号の区分として「S31」が設定されましたが、ボディ形状や主要レイアウトは従来のS30とほぼ共通しています。
見た目だけを比べると差が小さいため、初心者が混乱しやすいのも自然といえますね。
分かりやすく整理すると、次のイメージです。
■ S30とS31の位置づけ
- S30=前期〜中期の初代Z
- S31=排ガス規制に対応した後期型S30系
- ※別車種ではなく「同じ初代Zの進化版」
■ 誤解されやすいポイント
- 形式名が変わるため別モデルと思われやすい
- 外観がほとんど同じため違いが伝わりにくい
このようにS31は“後期型S30”であり、初代Zの延長線上で改良されたモデルという理解で十分です。
S31に起きた主な変更点 ― 排ガス規制対応とインジェクション化

S31は、1976年以降に本格化した昭和50年排ガス規制に対応するため、大幅な改良が施されたモデルです。
見た目は従来のS30とほぼ同じですが、内部の仕組みが変わったことで“性格の違うZ”へと進化。
複雑な技術を深掘りしなくても、最低限おさえておきたいポイントは次の3つです。
■ S31で追加・変更された主なポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 排ガス規制対応 | 新基準に合わせ燃焼制御が変更され、従来よりクリーンな仕様へ |
| インジェクション化(電子制御) | キャブレター中心のS30に対し、S31では電子制御式に移行 |
| ボディ補強・重量増 | 安全基準強化や排ガス機構追加で車重が増え、乗り味がやや変化 |
■ S31の走行フィールの特徴
- S30より落ち着いたフィーリング
- インジェクション化により扱いやすさが向上
- 反応はマイルドだが、日常走行では安定感が高い
これらの変更により、S31は“初代Zの後期版”として、より実用的で安定した性格を持つモデルとなりました。
S30とS31の違いを比較 ― 見た目は似ていても性格が異なる

S30とS31は見た目がほとんど同じため、一見すると「違いが分からない」と感じる人も多いでしょう。
しかし、実際には内部構造と走りの性格が大きく異なるモデルです。
外観よりも“中身”の差が重要で、ここが初代Zの理解で必ず押さえておきたいポイントになります。
まずは違いをシンプルにまとめると、次のようになるでしょうか。
■ S30とS31の主な違い
| 項目 | S30(前期〜中期) | S31(後期) |
|---|---|---|
| エンジン制御 | キャブレター中心 | 電子制御インジェクションへ移行 |
| 車重 | 軽い | 規制対応でやや重い |
| 乗り味 | 軽快・ダイレクト | 落ち着いたフィーリング |
| 排ガス規制 | 非対応/軽度 | 昭和50年規制に適合 |
■ 価格傾向
- S30のほうがプレミア化しやすい
- S31はS30より価格が抑えめのケースが多い
- ただし状態・仕様(Z432Rなど)で大きく上下する
このように、外観はほぼ一緒でも“走りの性格”が違う点がS30とS31の最も分かりやすい区別ポイントです。
どちらも初代Zならではの魅力がありますが、求める味わいによって選ばれる傾向が変わります。
フェアレディZ S30・S31の違い まとめ
S30とS31は名前が違うため別の車に見えますが、実際には同じ初代Zの前期型と後期型という関係です。
外観はほとんど共通しているものの、内部の技術や走行フィールには明確な差があります。
S30は軽快なキャブ車として“初期Zらしい味”が楽しめる一方、S31は排ガス規制や補強によって扱いやすく、より落ち着いた乗り味へと進化しました。
ここまでの内容をざっくり振り返ると、次のポイントが押さえられます。
■ この記事のポイント
- S30=前期型/キャブ車中心/軽快でスポーティな初代Z
- S31=後期型/インジェクション化/安定感のある走り
- 外観の差は小さく、違いは“中身”に現れる
- 価格はS30がプレミア化しやすい傾向
総じて、S30は“原点としての味わい”、S31は“後期の実用性と安定感”が魅力です。
どちらも初代Zを象徴する存在であり、好みや用途に合わせて選べるモデルといえるでしょう。
参考リンク
