近年クルマ選びで定番となったSUV。
一方で、かつてファミリーカーとして人気を集めたステーションワゴンの存在を知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
「SUVとステーションワゴンの違いは?」「ワゴンってそもそもどんな車?」といった疑問を持つ読者は多いはずです。
確かにSUVは今や街でも郊外でも目立ち、視点の高さやアウトドア志向のデザインで多くの支持を得ています。
しかしその陰で、ステーションワゴンも実は非常に実用性に優れたジャンルであることは見落とされがちです。
特に荷室の使いやすさや低重心の安定感は、SUVでは得にくいメリットといえるでしょう。
この記事ではまず、ステーションワゴンの基礎から丁寧に説明し、SUVとの違いを走り・積載・使い勝手・維持費などの観点から比較。
その上で、ライフスタイル別にどちらが向いているのかを整理し、最後に筆者の視点から「SUV一強の時代だからこそ、ステーションワゴンも一考の余地あり」と提案していきます。
クルマ選びで迷うとき、流行に流されるのではなく「本当に自分に合うかどうか」を軸に考えることが大切です。
本記事を読み進めれば、SUVとステーションワゴンの違いがクリアになり、あなたにとって最適な一台が見えてくるのではないでしょうか。
目次
SUVとステーションワゴンの違いとは?初心者にもわかる基礎解説
SUVとステーションワゴンの違いを理解するには、まずステーションワゴンの正体を知ることが大切です。
セダンやSUVとの違いを基礎から整理し、初心者にも分かりやすく解説していきます。
定義と基本イメージ

ステーションワゴンの基本的な定義
ステーションワゴンとは、セダンをベースにルーフを後方まで延長し、荷室スペースを広げたボディ形状を持つ車のことです。
セダンと同じように低めの全高を維持しながら、後席のさらに奥まで天井を伸ばすことで、大きな荷物や長尺物を積みやすい構造を実現しています。
簡単にいえば「荷室に強いセダン」と表現するのが分かりやすいでしょう。
SUVと混同されがちですが、両者の成り立ちは異なります。
SUVはもともとオフロード車を起源とし、最低地上高を高めて悪路走破性を意識した設計が多いのに対し、ステーションワゴンは都市や高速道路での快適性を優先して生まれたジャンル。
そのため車高は低く、重心位置が下がることで走行安定性に優れるという特性があります。
初心者が持ちやすいイメージと実際の姿
日本では「ワゴン」と聞くと、90年代から2000年代初頭にかけてのファミリーカーを連想する人も多いかもしれません。
かつてはトヨタのカルディナや日産アベニール、ホンダアコードワゴンなどが代表的で、実用性と積載力からレジャーや子育て世代に広く使われていました。
しかしSUVの台頭とともに販売数が減り、最近では「一昔前のクルマ」という印象を持たれることもあります。
ただし実際には、欧州を中心にステーションワゴンは今も高い人気を維持しています。
メルセデス・ベンツやBMW、ボルボなどはワゴンを主力車種の一つとして展開し、デザイン性と走行性能を両立させました。
さらに日本でもスバル・レヴォーグのように「スポーティで走りに特化したワゴン」が支持を集めており、SUVに比べて空力性能や燃費で有利な点も再評価されています。
つまり、表面的には「SUV全盛の時代に埋もれた存在」に見えるかもしれませんが、実際のステーションワゴンは走行安定性・荷室効率・長距離移動での快適性を兼ね備えた万能型の車種といえます。
初心者の方にとっても「SUVかワゴンか」を比較する際に、この基本的な定義と実際の姿を知ることは非常に重要ですね。
ボディ構造と荷室の特徴

ステーションワゴンの最大の強みは、その荷室構造の合理性にあるでしょう。
まず床面が低く設計されているため、重い荷物を持ち上げる動作が少なく済み、積み下ろしの負担を大きく軽減できます。
SUVのように車高が高いと、どうしても「持ち上げる高さ」が必要になりますが、ワゴンは腰や腕への負担が少なく、日常的に荷物を運ぶ場面では特に使い勝手の良さが際立ちます。
また、開口部が広く、真四角に近い形状をしていることが多いのも特徴。
これにより荷物の出し入れがスムーズで、スーツケースやベビーカーなど大型の荷物も無理なく積み込めます。
さらに後席を倒すと床がほぼフラットになる設計が多く、スキー板やキャンプ道具、自転車のような長尺物を積載する際にもストレスが少ないのが魅力です。
加えて、荷室スペースが「高さよりも奥行きに優れる」ため、見た目以上に多くの荷物が積み込めるケースも少なくありません。
SUVは高さ方向に積むことができますが、重心が上がるため走行中に荷物が動いたり、後方視界を妨げたりするリスクがあります。
その点ワゴンは低い床面と奥行きを活かし、安定した積載と視界確保の両立が可能です。
このように、低床・広い開口部・長尺物への対応力という3点セットは、日常の買い物からアウトドア、長距離旅行まで幅広く活躍します。
単なる「昔のファミリーカー」というイメージに収まらず、実用性を重視するユーザーにとって今も大きなメリットを持つボディ構造といえるでしょう。
走りと使い勝手のキャラクター(2025おすすめ車)

ステーションワゴンならではの走行性能と使い勝手
ステーションワゴンの大きな魅力は、低重心による安定感です。
SUVと比べて車高が低いため、カーブや高速道路でのフラつきが抑えられ、長距離ドライブでも安心感が。
これは重心位置が下がることで得られる物理的なメリットで、特に高速巡航時の直進安定性に優れます。
燃費面でもワゴンは優位に立ちやすい傾向があります。
全高が抑えられている分、空気抵抗が少なく、SUVよりも軽量に仕上がるためです。
通勤や長距離出張など走行距離が多い人にとっては、ガソリン代の節約という実利につながります。
さらに都市部ユーザーに嬉しいのが駐車場適性です。
SUVは全高制限で立体駐車場に入らないケースがありますが、ワゴンは制限をクリアすることが多く、買い物や仕事で街中の駐車場を利用する機会が多い人には大きな利点となりますね。
このように「走りの安定感」「燃費効率」「駐車場適性」という3つの軸で見ると、SUV全盛の今でもステーションワゴンは隠れた実力派といえるでしょう。
2025年おすすめの中古車・現行車ワゴン
2025年時点で注目すべきステーションワゴンを、中古車と現行車に分けて紹介。
価格帯や用途の違いを意識すると、自分に合った一台が見つけやすくなります。
中古車でおすすめのモデル
- スバル・レガシィツーリングワゴン
低重心の水平対向エンジンとAWDが強み。雪道や高速道路でも安定感抜群。 - トヨタ・カルディナ
比較的手頃な価格で入手可能。荷室の広さと信頼性でファミリーユースに適する。 - ホンダ・アコードワゴン
やや古めだが、室内の広さと快適性が魅力。長距離移動に強い。
現行車でおすすめのモデル
- スバル・レヴォーグ
スポーティな走りと最新の安全装備を搭載。日本市場で数少ない本格派ワゴン。 - ボルボ・V60
北欧デザインと高い安全性が魅力。上質な乗り心地と積載力を兼ね備える。 - BMW 3シリーズツーリング
ドイツ車らしい走行性能に定評あり。高級感と実用性のバランスに優れる。
SUVブームの中で存在感が薄れているものの、これらのワゴンは安定した走り・低床の荷室・駐車場適性といった特徴を持ち、依然として価値の高い選択肢です。
中古市場では価格的に手頃で狙いやすく、現行車では先進安全技術や高級感を求める層に支持されています。
SUVとステーションワゴンの違いを比較【走り・積載・使いやすさ】

SUVとステーションワゴンの違いを理解するには、実際の使い勝手や走行性能を比較することが欠かせません。
ここでは「走り・積載・使いやすさ」の3つの視点から両者を整理し、あなたのライフスタイルに合う一台を見極めていきましょう。
比較早見表
観点 | SUV | ステーションワゴン |
---|
視点の高さ/運転視界 | 車高が高く見晴らし良好。段差や路肩でも安心感あり。 | セダンに近い低めの視点。路面情報がつかみやすく、死角が少ない。 |
乗り降りのしやすさ | 座面が腰の高さに近く、乗り降りが自然で高齢者にも優しい。 | 座面が低めで、体をかがめる動作が必要。慣れれば問題ないが負担を感じる人も。 |
荷室形状と積載力 | 縦に高さがあるため、大きな荷物やベビーカーを立てて積める。 | 床が低く奥行きが長い。長尺物や重い荷物の積み下ろしがしやすい。 |
走行性能(舗装路) | 背高のためコーナリングでロールが出やすい傾向。ただし最新モデルは改善されつつある。 | 低重心で安定感が高く、高速道路や長距離移動に強い。スポーティな走りも得意。 |
悪路・雪道走破性 | 最低地上高が高く、悪路や雪道に有利。4WD設定も豊富。 | 基本は舗装路向き。ただしAWD搭載モデルや雪道タイヤで十分対応可能。 |
燃費/維持費 | 車重や大径タイヤで不利になる場合あり。燃費はやや悪化しやすい。 | 車高が低く軽量なため空力効率が良く、燃費で優位に立ちやすい。 |
駐車場適性 | 全高制限で立体駐車場に入らないことがある。 | 多くの立体駐車場で対応可能。都市部のユーザーに安心。 |
デザイン・流行 | 流行の中心で人気高い。選択肢も豊富でカスタムパーツも多い。 | 落ち着いた実用美。輸入車や一部国産車は「知る人ぞ知る」個性派として支持される。 |
ファミリーユース | チャイルドシートの装着が楽。乗り降りもしやすく子育て世代に好評。 | ベビーカーや大きな荷物を積むのが得意。低床で積み下ろしが快適。 |
価格帯の傾向 | 人気の高さからリセールバリューが高め。 | 人気の低下で中古価格はお得に狙いやすい。輸入ワゴンは高級志向のものも多い。 |
ファミリーユースでの違い
項目 | SUV | ステーションワゴン |
---|
チャイルドシート装着 | 座面が高めで腰をかがめずに取り付けやすい。 | 座面が低いため少しかがむ必要あり。ただし装着自体は問題なし。 |
ベビーカー積載 | 縦方向の余裕があり、立てたまま載せやすい。 | 床が低く奥行きが長いので、横に寝かせても安定して収納可能。 |
後席居住性 | 車高が高く頭上空間に余裕がある。乗り降りも楽。 | 車高は低めだが、シート設計次第で足元スペースや快適性は十分確保可能。 |
アウトドア・都市利用での違い
項目 | SUV | ステーションワゴン |
---|
アウトドア適性 | 最低地上高が高く段差や未舗装路に強い。キャンプや雪道で安心感あり。 | 基本は舗装路向き。ただしAWDやスタッドレス装着で雪道も対応可能。 |
都市部での使いやすさ | 車高が高いため立体駐車場で制限にかかることがある。 | 全高が低くほとんどの立体駐車場に対応。都市生活と相性が良い。 |
高速巡航性能 | 風の影響を受けやすく、横揺れが出る場合も。最新モデルは改善傾向。 | 低重心設計で直進安定性が高い。長距離移動に適している。 |
SUVとステーションワゴンの違いから見る選び方|筆者の視点
SUVとステーションワゴンの違いを整理したうえで、実際に「どちらを選ぶべきか」を考えることが大切です。
ここではライフスタイル別に向いているタイプを示しつつ、筆者の視点からワゴン再評価の切り口を紹介していきます。
SUVが向いている人

ライフスタイルや好みに合う人
SUVはまず流行を重視する人にぴったりです。
街中を見渡せばSUVが多数を占め、デザインも洗練されているため「今の時代のクルマ」という印象を持たれやすいのが大きな魅力です。
ファッション感覚で車を選びたい人、見た目の存在感を大切にしたい人には強い満足感を与えてくれるでしょう。
また、高い視点からの運転を好む人にもSUVは向いていますね。
車高が高いため、前方の見晴らしが良く、渋滞や交差点で周囲の状況をつかみやすい点は安心感につながります。
特に運転初心者や小柄な方にとっては、視界の広さが「扱いやすさ」そのものになるケースも多いのです。
ファミリー層でも人気が高く、チャイルドシートの取り付けや子どもの乗せ降ろしがスムーズに行えるのも利点です。
座面が腰の高さに近く、体を大きくかがめずに作業できるため、日常のちょっとした負担を減らせます。
利用シーンで考えると適している人
そしてSUVは、アウトドアを楽しむ人には最適な選択肢です。
最低地上高が高く、河原やキャンプ場など舗装されていない道でも走破性を発揮。
荷室にテントやキャンプ用品を立てて積める点も魅力で、大きなクーラーボックスや折りたたみチェアも難なく収まります。
さらに雪道や悪天候を想定する人にとってもSUVは頼もしい存在です。
4WD設定が多く、積雪地域に住んでいる人やスキー・スノーボードに出かける人にとっては安心感があります。
スタッドレスタイヤと組み合わせれば、悪路でも不安なく走れるでしょう。
このようにSUVが向いているのは、
- デザインや流行を重視したい人
- 高い視点で運転したい人
- アウトドアやレジャーを楽しむ人
- 雪道や悪天候を想定する人
といった層です。
単なる人気だけでなく、用途や環境に合えば非常に合理的な選択肢となるのがSUVの特徴だといえます。
ステーションワゴンが向いている人

ライフスタイルや日常利用に合う人
ステーションワゴンは、舗装路をメインに走る人にとって最も適した選択肢といえます。
高速道路や都市部の幹線道路を日常的に利用する人にとって、低重心による安定感は大きな安心材料でしょう。
長距離ドライブでも車体がブレにくく、SUVに比べて横風の影響を受けにくいため、疲労感が軽減されやすいという利点があります。
また、運転そのものを楽しみたい人にも向いていますね。
ワゴンはセダンの延長線上にあるためステアリングフィールが自然で、カーブでも落ち着いた挙動を見せます。
スポーティな走りを楽しみたいドライバーにとって、SUVよりも走りの質感で満足感を得やすいでしょう。
さらに、荷室の使いやすさを重視する人もワゴンを選ぶ価値があります。
低床で奥行きがあるため、重い荷物や長尺物をラクに積めるのは大きな利点。
買い物や子育ての荷物だけでなく、趣味でアウトドア用品や自転車を載せたい人にも相性が良い車種といえます。
都市生活や環境にフィットする人
都市部に住む人にとって、駐車場適性は大切なポイント。
SUVは高さの制限で立体駐車場に入らない場合がありますが、ワゴンは全高が低いためほとんどの駐車場をクリアできます。
都心のマンション暮らしや頻繁に商業施設を利用する人には特にありがたい特徴ですね。
また、燃費の良さを重視する人にもおすすめです。
SUVより軽量で空力効率に優れるワゴンは、長距離通勤や出張が多い人にとって維持費を抑えやすい選択肢となるでしょう。
中古市場ではSUVより価格が落ち着いている傾向があり、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっても魅力的です。
まとめるとステーションワゴンは、
- 舗装路メインで走る人
- 運転の安定感や走りを楽しみたい人
- 荷室の使いやすさを求める人
- 都市居住で駐車場制限を気にする人
- 維持費を抑えたい人
といった層におすすめです。
派手さはないものの、生活に密着した使いやすさと安定感で選ぶなら、ワゴンは今も有力な候補となります。
筆者の考え:ワゴンも一考の余地あり

SUVが主流となっている現代ですが、筆者としてはあえてステーションワゴンを再評価すべきだと考えています。
確かにSUVは流行や存在感が魅力的で、悪路や雪道でも安心して使える万能さを持っています。
しかし、日常生活の大半を占める舗装路での走行や都市部での駐車を考えれば、ワゴンの低重心による安定性や駐車場適性、そして荷室の使いやすさは見逃せない強みでしょう。
特に高速道路での安定した走りや、重い荷物を楽に積み下ろせる低床設計は、SUVでは得にくいワゴンならではの利点。
ライフスタイルによっては、SUVよりもむしろ快適で合理的な選択になるケースが多いと感じます。
個人的に推したいのはスバル・レヴォーグです。
走りの楽しさと最新の安全装備、さらに日本の道路事情に適したサイズ感を兼ね備え、まさに「現代的なワゴンの完成形」といえる一台でしょう。
SUVが注目される時代だからこそ、実力派のステーションワゴンに目を向ける価値があるのではないでしょうか。
まとめ SUVとステーションワゴンの違いを理解してベストな選択を
SUVとステーションワゴンの違いは、主に以下のポイントに集約されます。
- 車高・視点の違い
SUV=高い視点で運転がしやすい/ワゴン=低重心で安定感が高い。 - 積載形態の違い
SUV=高さ方向に有利/ワゴン=低床・奥行きに強い。 - 走りの性格
SUV=万能で悪路に対応/ワゴン=高速巡航や長距離に強い。 - 維持費の観点
SUV=燃費面で不利になりがち/ワゴン=燃費効率が良く都市利用向き。
まとめると、
- SUVは流行性と多用途性で優れるため、アウトドアや雪道走行が多い人に最適。
- ステーションワゴンは安定感・低燃費・荷室効率で光るため、都市中心や高速利用が多い人にこそおすすめ。
筆者としては、SUV全盛の時代だからこそ、ワゴンをもっと注目してほしいと感じています。
特にスバル・レヴォーグのように「走り・安全・使い勝手」を兼ね備えた現行モデルは、一考の価値が十分にあるでしょう。
👉 参考リンク:スバル レヴォーグ公式