マツダのSUVを検討していると、必ずといっていいほど候補に挙がるのがCX-5とCX-60です。
価格帯も車格も異なる2台ですが、「せっかくなら新しいCX-60のほうが正解なのでは?」「でもCX-5でも十分なのでは?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
実際、この2台を比較して検索している時点で、すでに購入はかなり現実的な段階に入っているはずです。
CX-60はマツダの新世代SUVとして、縦置きエンジンやFRベースの設計など、これまでとは異なる思想を取り入れた意欲作です。
一方でCX-5は、長年改良を重ねてきた完成度の高いモデルとして、今なお高い評価を受け続けています。
単純に「新しいから上位」「高いから正解」と言い切れない点が、この比較を難しくしている理由といえるでしょう。
本記事では、CX-5とCX-60をサイズや価格といった表面的なスペックだけで比べるのではなく、後部座席の使い勝手や乗り心地、維持費、評判といった“実際に所有してから差が出るポイント”を中心に整理していきます。
そして最終的に、どんな人がCX-60に向いていて、どんな人ならCX-5を選んでも後悔しにくいのか。その判断軸をできるだけ分かりやすく解説していきます。
「CX-60に行くべきか、それともCX-5で十分なのか」。
この記事を読み終える頃には、その答えが自分の価値観に照らして見えてくるはずです。
CX-5とCX-60比較|違いを整理すると見えてくる本質
CX-5とCX-60は、同じマツダのSUVでありながら成り立ちや思想が大きく異なる2台です。
価格やサイズだけを見るとCX-60が上位に見えますが、実際には使い方や価値観によって評価は変わります。
まずは両車の立ち位置と基本的な違いを整理し、比較の前提となる「本質」を押さえていきましょう。
CX-5とCX-60は上位・下位の関係ではない

CX-5とCX-60を比較すると、多くの人が「CX-60=上位モデル」と考えがちです。
確かに価格帯や設計思想を見るとCX-60は新世代ですが、両車は単純な上下関係ではありません。
狙っているユーザー像と役割が明確に分かれているのです。
CX-60は新世代・ラージ商品群SUV
CX-60はマツダの「ラージ商品群」に属し、縦置きエンジンやFRベース設計を採用した意欲作です。
- 高級感・走行性能・思想重視
- エンジン・足回りに力を入れた設計
- 「運転する楽しさ」を前面に出したSUV
言い換えると、クルマ好きに向けた挑戦的なモデルといえます。
CX-5は熟成されたミドルSUV
一方のCX-5は、長年改良を重ねて完成度を高めてきたモデルですね。
- 乗り心地・使いやすさ重視
- 後部座席や室内のバランスが良好
- 日常からレジャーまで万能
派手さはありませんが、生活に溶け込む安心感が一番の魅力です。
立ち位置の違いを整理すると
| 項目 | CX-5 | CX-60 |
|---|---|---|
| 車格 | ミドルSUV | ラージSUV |
| 性格 | 万人向け・完成形 | 趣味性・思想重視 |
| 乗り味 | 快適・穏やか | 走り重視・好みが分かれる |
この2台で迷う人が多い理由は、「価格差=満足度差なのか?」が分かりにくいからです。
CX-60は魅力的ですが、CX-5が劣っているわけではありません。
ここを理解することが、後悔しない比較の第一歩になります。
CX-5 CX-60比較|サイズ・室内・後部座席の現実

CX-5とCX-60のサイズ差はカタログ上でも明確ですが、実際に差を感じやすいのは「数値」よりも取り回しや体感サイズです。
ここを理解しておかないと、購入後に違和感を覚える可能性があるでしょう。
数値以上に効く「取り回し」と「体感サイズ」
CX-60は全長・全幅ともにCX-5より一回り大きく、車重も増しています。
| 項目 | CX-5 | CX-60 |
|---|---|---|
| 全長 | 約4,575mm | 約4,740mm |
| 全幅 | 約1,845mm | 約1,890mm |
| 車重 | 比較的軽め | 重量感あり |
CX-60は直進安定性や高速走行では余裕がありますが、
- 狭い住宅街
- 立体駐車場
- 切り返しが多い場面
では**「思ったより大きい」**と感じやすい傾向があります。
一方CX-5は、日常域で扱いやすいサイズ感が強みですね。
後部座席・室内の快適性の違い
意外にも、後部座席の“開放感”で大きな差はありません。
- CX-60:横方向に余裕、シートの質感が高い
- CX-5:足元・頭上のバランスが良く自然な姿勢
室内空間はCX-60が上質寄り、CX-5は実用寄りという印象です。広さ=快適さではない点は重要でしょう。
ファミリーユースでの向き・不向き
家族利用を前提にすると評価は分かれます。
CX-5が向くケース
- 毎日の送迎・買い物が中心
- 後席の乗り降りや使いやすさ重視
- 駐車環境に余裕がない
CX-60が向くケース
- 長距離移動が多い
- 高速道路メイン
- 車格・質感を重視したい
ファミリーカーとしての“楽さ”はCX-5、
“余裕と質感”を求めるならCX-60。
この違いをどう捉えるかが、選択の分かれ目になります。
CX-5 CX-60比較|価格・維持費・コスパの差

CX-5とCX-60を比較するうえで、多くの人が最も悩むのが価格差でしょう。
ただし重要なのは、「高い・安い」ではなくその差がどこに使われているかを理解することです。
価格差はどこに使われているのか
両車の価格帯を大まかに整理すると、CX-60はCX-5より数十万円〜100万円以上高くなります。
| 項目 | CX-5 | CX-60 |
|---|---|---|
| 価格帯 | 比較的抑えめ | 高め |
| 設計 | 既存FFベース | 新世代FRベース |
| 内装 | 実用重視 | 質感・素材重視 |
CX-60の価格差は、
- 縦置きエンジン
- FRベースプラットフォーム
- 内装素材や走行性能
といった**「クルマとしての思想と構造」**に投資されました。
維持費・燃費・重量差の影響
購入後に効いてくるのが維持費です。
- CX-60は車重が重く、タイヤ・ブレーキ消耗が大きくなりやすい
- 燃費も条件次第ではCX-5のほうが安定
- 税金や保険料もグレード次第で差が出る
日常使いが多いほど、この差はじわじわ効いてきますね。
コスパ視点でCX-5が評価されやすい理由
CX-5は「必要十分」を高いレベルで満たしています。
- 室内・走り・安全装備のバランスが良い
- 価格に対する満足度が高い
- 維持費を含めた総コストが読みやすい
そのため、コスパ重視の視点ではCX-5が有利と感じる人が多いのです。
CX-60は価値観重視、CX-5は合理性重視。
この違いが価格差の正体といえるでしょう。
CX-5とCX-60比較|後悔しない選び方と筆者の見解
ここまでCX-5とCX-60の違いを整理してきましたが、最終的に重要なのは「自分に合うかどうか」です。
数値や価格だけでは見えない乗り味や価値観の差が、満足度を大きく左右します。
ここからは評判やデメリットも踏まえつつ、筆者の視点で後悔しない選び方を整理していきましょう。
CX-5 CX-60比較|乗り心地・評判・デメリット

CX-5とCX-60の評価が分かれやすいポイントが、乗り心地と走行フィール。
どちらが優れているかではなく、方向性の違いを理解することが重要になります。
CX-5:万人向けでバランス重視
CX-5は長年の改良によって、快適性と安定感のバランスが非常に高い水準にあります。
- 路面の凹凸を穏やかにいなす足回り
- 低速から高速まで違和感が少ない
- 同乗者から不満が出にくい
「運転しても疲れにくく、誰が乗っても安心」
この評価がCX-5の強みですね。
CX-60:走り重視で評価が割れる理由
CX-60は走行性能を重視した設計のため、評価が分かれるところ。
- ステアリングの手応えが重め
- 車体の重量感をしっかり感じる
- 高速域では安定感が高い
一方で、街乗り中心だと
- 硬さを感じやすい
- 重さが気になる
といった声も見られます。
乗り味の違いを整理するとこうですね。
| 項目 | CX-5 | CX-60 |
|---|---|---|
| 乗り心地 | 快適・穏やか | 硬め・重厚 |
| 評判 | 安定して高評価 | 好みが分かれる |
| 向く人 | 家族・日常重視 | 走り・質感重視 |
CX-60のデメリットが気になる人へ
CX-60は万人向けではありません。
- 街乗り中心
- 同乗者の快適性優先
- クルマにクセを求めない
こうした使い方なら、CX-5のほうが満足度は高くなりやすいでしょう。
CX-60は「理解して選ぶ」ことが前提のSUVといえます。
CX-60が向いている人・向いていない人

CX-60はスペックや価格だけで選ぶと、評価が分かれやすいSUVです。
重要なのは「どんな価値観でクルマを選ぶか」。
ここを整理すると、向き・不向きがはっきり見えてきます。
クルマの思想・走りを楽しみたい人
CX-60はマツダの新世代SUVとして、走りへのこだわりが強く反映されています。
- 縦置きエンジン+FRベース設計
- ステアリングにしっかりした手応え
- 高速域での安定感と直進性
これらに魅力を感じるなら、CX-60は非常に満足度が高い一台になります。
**「移動手段ではなく運転を楽しみたい人」**向けですね。
重さやクセを許容できるか
一方で、CX-60は明確なキャラクターを持っています。
- 低速域では重さを感じやすい
- 小回り性能はCX-5より劣る
- 街乗り中心だとメリットを活かしにくい
これらを「欠点」と感じるか、「個性」と受け取れるかで評価は大きく変わります。
ここが最大の分岐点でしょう。
所有満足度を重視するタイプ
CX-60は所有する喜びを重視する人にも向いています。
- 内装の質感・素材の良さ
- 新世代モデルに乗る満足感
- 「選んだ理由」を語れる一台
反対に、実用性や扱いやすさを最優先する場合は、CX-5のほうが自然な選択になります。
CX-60は共感できる人に深く刺さるSUVといえるでしょう。
CX-5が今でも選ばれる理由(筆者の見解)

CX-60という魅力的な新世代SUVが登場した今でも、CX-5が選ばれ続けているのは偶然ではありません。
スペックや世代の新しさでは測れない、「生活の中での完成度」が、CX-5には確かに存在します。
圧倒的に安価な中古車市場と“いい意味で裏切られるCX-5”
まず注目すべきは、中古車市場でのCX-5の立ち位置です。
- 流通量が多く選択肢が豊富
- 価格がこなれており手が届きやすい
- 年式の割に内外装の質感が高い
実際に乗ると、「この価格でここまで?」と感じる人は少なくありません。
静粛性、直進安定性、内装の落ち着きなど、価格以上の満足感を得やすい点はCX-5の大きな強みです。
日常・家族・使いやすさの完成度が高い
CX-5は、日常で使うシーンを非常によく考えて作られています。
- 車幅が現実的で運転しやすい
- 狭い道や駐車場でも扱いやすい
- 同乗者が快適に過ごしやすい
特に運転のしやすさは重要。
CX-60のような重厚感はありませんが、その分「考えなくても自然に運転できる」感覚があります。家族利用では、この差が積み重なって効いてきます。
CX-60に行かなくても後悔しないケース
ここが筆者として最も伝えたいポイントです。
CX-60に行かない=妥協ではありません。
- クルマは移動手段として快適であれば十分
- 維持費や扱いやすさを重視したい
- 毎日使うからこそストレスを減らしたい
こうした価値観なら、CX-5を選んで後悔する可能性は低いでしょう。
クルマに何を求めるかは人それぞれであり、そこに正解・不正解はありません。
上位車=正解ではないという結論
もちろん、CX-60のような新型・高価格帯の車を所有する喜びは確かにあります。
- 新世代モデルに乗る満足感
- 質感や走りへのこだわり
- クルマ好きとしての所有欲
これらに強く惹かれるならCX-60は魅力的です。
ただし、上位車だから正解という考え方は必ずしも当てはまりません。
CX-5は今なお「選んで納得できる完成形SUV」であり、生活に寄り添う一台として非常に優秀なのです。
やはり最終的に大切なのは、車格ではなく自分の価値観。
CX-5が今でも選ばれる理由は、そこにしっかりと応え続けているからだと筆者は考えます。
CX-5とCX-60比較|判断ポイントまとめ
記事ポイント
- CX-60は趣味性・思想重視のSUV
縦置きFRベースという新世代設計に魅力を感じ、走りや所有満足度を重視する人向け。クルマそのものを楽しみたい層に刺さる一台です。 - CX-5は実用性と完成度のバランス型
日常・家族・運転のしやすさを高いレベルでまとめた熟成SUV。扱いやすさと安心感を重視する人にとって、今でも有力な選択肢といえます。 - 価格差=満足度差ではない
CX-60は高価格な分だけ価値観が合えば満足度は高いものの、すべての人にとっての正解ではありません。CX-5は価格以上の完成度で、十分に満足できるケースも多いです。
CX-5とCX-60の比較で大切なのは、「どちらが上か」ではなく「どちらが自分の使い方に合うか」です。
新型や上位モデルに魅力を感じるのも自然ですが、日常性・維持費・運転のしやすさを重視するならCX-5という選択が後悔につながらない場合も少なくありません。
自分の価値観を基準に選ぶことこそが、満足度の高い一台に出会う近道といえるでしょう。
参考リンク
