「シビックって燃費悪いの?」——そんな疑問を持つ人は少なくありません。
特に近年は燃費性能が車選びの重要なポイントになっており、走りの良さで知られるシビックも“実際の燃費はどうなのか”が気になるところではないでしょうか。
シビックは2000年代以降、ガソリン・ターボ・ハイブリッドなど多彩なパワートレインを展開してきました。
走行性能を重視したType Rや、低燃費を追求したe:HEV(ハイブリッド)まで、その性格はモデルによって大きく異なります。
一般的に「燃費が悪い」と言われがちな一方で、最新モデルでは燃費性能の大幅な改善が進んでいるのも事実です。
この記事では、**「シビックの燃費は本当に悪いのか?」**をテーマに、2000年以降のモデル変遷から現行ハイブリッドまでを徹底的に比較。
Type Rを含めた各モデルの実燃費データや、ライバル車との比較も交えながら、シビックの“燃費の真実”をわかりやすく解説していきます。
シビックの燃費悪さ実態 ― 2000年以降モデルから現行までの推移
シビックの燃費評価は、時代とともに大きく変化してきました。
2000年代のガソリンモデルは「燃費が悪い」と言われた一方で、近年はハイブリッド化により大きく改善。
ここでは各世代の燃費推移をもとに、その実態を整理していきます。
歴代シビックの燃費データ推移(2000年以降)

シビックは世代ごとにエンジン構成や車重が大きく変化し、燃費性能にも波があります。
まずは2000年代の前期モデルから見ていきましょう。
🔸前期モデル(7〜9代目:2000〜2015年)
| 世代 | 販売期間 | 主なパワートレイン | カタログ燃費 | 実燃費傾向 | 
|---|---|---|---|---|
| 7代目(EU型) | 2000〜2005年頃 | 1.5〜1.7L ガソリン | 15〜19 km/L(10・15モード) | 約13〜16 km/L | 
| 8代目(FD型) | 2005〜2011年頃 | 1.8L/2.0L ガソリン | 14〜18 km/L | 約11〜14 km/L | 
| 9代目(FB型) | 2012〜2015年頃 | 1.8L ガソリン | 16.6 km/L | 約13〜15 km/L | 
👉 この時期は「軽快な走り重視」で、燃費は平均的〜やや控えめ。
排気量アップや車重増により実燃費は下降傾向でした。
🔸後期モデル(10〜11代目:2017年〜現行)
| 世代 | 販売期間 | 主なパワートレイン | カタログ燃費 | 実燃費傾向 | 
|---|---|---|---|---|
| 10代目(FK型) | 2017〜2021年頃 | 1.5L ターボ/2.0L Type R | 17.4 km/L(ターボ) | 約13〜16 km/L | 
| 11代目(FL型) | 2021年〜現行 | 1.5L ターボ/2.0L e:HEV | WLTC 24.2 km/L(e:HEV) | 約18〜21 km | 
👉 現行モデルではハイブリッド化が進み、燃費が大きく改善。
特にe:HEVは実燃費でも20km/L前後を記録し、「燃費悪い」というイメージを覆しています。
このように、「走り重視の時代」→「ハイブリッド時代」へと進化する中で、シビックの燃費は明確に改善傾向にあります。
【セダン vs ハッチバック】燃費の違いと特徴

セダンは空力効率が高く、高速走行で燃費に優れる
セダン型シビックは、なめらかなボディラインと後方に伸びるトランク形状により、空気抵抗を受けにくい構造になっています。
特に高速道路では空力の差が燃費に直結しやすく、同じエンジンでもセダンの方が燃費が1〜2km/Lほど良くなるケースもあります。
重心が低く安定しているため、エンジン回転数を抑えて一定速度を維持しやすいことも燃費向上の一因です。
通勤や長距離ドライブが多い人にとって、セダンの安定感と燃費バランスは大きな魅力といえるでしょう。
ハッチバックは街乗り中心で燃費がやや劣るが実用性に優れる
一方、ハッチバック型のシビックはリアゲートが立っている分だけ空力効率では不利です。
車体の全高も若干高く、後方で空気が乱れやすいため、高速域では燃費が少し悪化する傾向があります。
ただしその分、次のような利点がありますね。
- 荷室スペースが広く、開口部も大きい
 - 視界が広く、街中で扱いやすい
 - コンパクトながら積載性が高い
 
実燃費ではセダンより1〜2km/Lほど劣ることがありますが、日常用途ではほぼ差を感じないケースも多いのです。
ボディ形状で燃費差が出る理由と選び方のポイント
燃費の差は「車体の形」だけでなく、重量配分やギヤ比設定、タイヤサイズといった細部の違いにも影響されます。
ハッチバックはスポーティ志向が強く、タイヤ幅が広いグレードも多いため、転がり抵抗が大きく燃費に影響しやすいのです。
ただし、近年のモデルでは空力性能の改善や軽量化が進み、セダンとの差は縮小傾向にあります。
つまり長距離重視ならセダン、街乗りや積載性重視ならハッチバックという選び方が最も現実的。
どちらもシビックらしい上質な走りを備えており、燃費だけで優劣をつける必要はありません。
シビックType Rとハイブリッド 燃費改善の切り札となったe:HEVの実力

シビックType Rの燃費は?—明確に「走り」に振った設計
シビックType Rは、燃費よりも走行性能を徹底的に追求したモデルです。
現行FL5型は2.0 L VTECターボエンジン(最高出力330 ps)を搭載し、6速MTのみ設定。
WLTCモードで11.4 km/Lという数値を示しています。
街乗りでは実燃費が8〜10 km/L前後、高速道路で12 km/L前後が一般的。
この数値だけを見ると「燃費が悪い」と感じられますが、サーキット走行にも耐える高出力・高剛性ボディを備えており、燃費より“走りの官能性”を優先したモデルであることを理解しておく必要がありますね。
e:HEV・1.5 Lターボとの比較で見る燃費差
同じシビックでも、グレードによって燃費性能は大きく異なります。
以下の表は、現行モデルの主要3タイプを比較したものです。
| グレード | パワートレイン | WLTC燃費 | 実燃費(平均) | 備考 | 
|---|---|---|---|---|
| e:HEV(ハイブリッド) | 2.0 L+モーター | 24.2 km/L | 約20 km/L | 街乗り・郊外とも安定した燃費性能 | 
| 1.5 L ターボ | 直噴ターボガソリン | 17.4 km/L | 約13〜16 km/L | 走りと燃費のバランス型 | 
| Type R(2.0 L VTEC TURBO) | ガソリン6MT | 11.4 km/L | 約8〜12 km/L | 完全走行志向モデル | 
同じ「シビック」でも、これほど燃費差が開くのは珍しいほどです。
Type Rはスポーツタイヤ・ワイドトレッド・エアロ装備など、すべてが走りに最適化されているため、空力抵抗や転がり抵抗が増す構造になっています。
その結果、カタログ値でも10 km/L台前半にとどまる一方、加速性能やハンドリングは国産トップクラス。
つまり「燃費悪い」という評価は、性能志向の裏返しとも言えるのです。
シビックは本当に燃費が悪いのか?― Type Rや他車との比較分析
シビックは「燃費が悪い」と言われることがありますが、その印象は本当に正しいのでしょうか。
ここからは、Type Rなど走行性能重視のモデルを含め、同クラス車との比較を通してシビックの燃費ポジションを客観的に検証していきます。
【Type R】燃費より走りを優先したモデル

数値だけ見れば燃費は確かに悪い部類
現行シビックType R(FL5型)は、WLTCモードで11.4 km/L、実燃費では8〜12 km/L前後が一般的です。
街乗りでは一桁台になることもあり、他グレードのe:HEVや1.5 Lターボに比べると見劣りします。
しかしこれは欠点ではなく、スポーツカーとしては妥当な数値。
むしろこの燃費で300馬力超を発揮する点にこそ、Type Rの高効率さが隠れています。
設計思想は「燃費ではなく官能性を追求」
Type Rの心臓部である2.0 L VTEC TURBO + 6速MTは、燃費よりもドライバーの操作感やレスポンスを最優先に設計されています。
ターボラグを最小化する制御、クロスレシオのギヤ比、軽量クラッチなど、あらゆる要素が「走りの快感」を軸に構成されました。
この結果、エンジン回転を常に高めに維持する走行が多くなり、燃費は犠牲になりやすいのです。
つまり、**“燃費悪い”というより“走りに全振りした結果”**と位置づけるのが正確でしょう。
走りの満足度が燃費を超える価値を生む
Type Rは燃費では敵わなくとも、その走りの完成度で他を圧倒します。
- サーキット直系のボディ剛性と足回り
 - 高回転域での伸びとレスポンス
 - コーナリング中の姿勢制御の正確さ
 
これらは、燃料を多く消費してでも得られる「快感」として多くのユーザーに評価されています。
また、高速巡航ではエンジン負荷が安定し、12 km/L前後を維持する例も多いため、極端に燃費が悪いわけではありません。
総じてType Rは、効率より情熱を優先するドライバーのためのモデル。
シビック全体の評価を語るうえで、この「燃費を度外視した特別な立ち位置」を理解しておくことが重要です。
【同クラス比較】マツダ3/カローラ/インプレッサとの燃費差

比較対象は燃費競争の激戦区
シビックが属するCセグメントは、各メーカーが燃費性能を磨き上げてきた競争の激しいクラスです。
特にトヨタのカローラ、マツダ3、スバル・インプレッサは、いずれも実用燃費の高さで知られる存在。
この3車種と比較することで、シビックの実際の立ち位置がより明確になります。
燃費比較表 — 数値で見る4車のバランス
| 車種 | パワートレイン | WLTC燃費 | 実燃費(平均) | 特徴 | 
|---|---|---|---|---|
| シビック e:HEV | 2.0L+モーター | 24.2 km/L | 約20 km/L | 高速・市街地とも安定した燃費性能 | 
| カローラHV | 1.8Lハイブリッド | 30.2 km/L | 約23 km/L | クラス最強の低燃費、街乗り特化 | 
| マツダ3 20S | 2.0Lガソリン | 17.2 km/L | 約14 km/L | デザイン重視、走りと静粛性を両立 | 
| インプレッサ e-BOXER | 2.0Lハイブリッド | 17.8 km/L | 約14 km/L | 4WDによる安定感と引き換えに燃費は控えめ | 
👉 比べると、シビックe:HEVはトップではないものの「燃費悪い」と言うほどではない中堅上位クラス。
特に高速巡航時の燃費効率は高く、WLTCモード全体では十分に優秀な数値といえます。
数値以上に見逃せない“実用燃費の安定感”
注目すべきは、シビックがどんな走行環境でも極端に燃費が落ちにくい点です。
ハイブリッド制御の緻密さにより、渋滞時や短距離走行でも一定の効率を保ちます。
一方で、カローラHVは街乗りに強い反面、高速では燃費がやや落ちる傾向。
マツダ3やインプレッサは走りや質感を重視する分、燃費面では一歩譲ります。
つまり、シビックは「燃費勝負の車」ではないものの、実用燃費では常に安定して上位を維持するバランス型。
走行性能と燃費の両立という点で見れば、4車の中でも最も“総合力の高い一台”といえるでしょう。
【現行モデルの評価】燃費以外の魅力と“悪い”印象の誤解

燃費以上に満足度を高める走行性能と上質感
現行シビック(11代目)は、燃費性能が大幅に向上しただけでなく、走りの完成度と静粛性の高さで多くのユーザーに支持されています。
高速域での安定感はクラス随一で、長距離走行でも疲れにくい。
ボディ剛性の高さとサスペンションの精度が、燃費を悪化させる要因である“無駄な加減速”を抑えてくれる点も見逃せません。
また、遮音性が優れているため、モーター走行中心のe:HEVではエンジン音がほとんど気にならず、燃費数値を超える快適性と満足感を実現しています。
結果として、実燃費20km/L前後という数値以上に「燃費よりも満足感が上回る」と感じるユーザーが多いのです。
“燃費悪い”という印象はターボ車に集中している
一方で、「燃費が悪い」と感じる意見は主に1.5Lターボモデルのオーナーに見られます。
このモデルは加速性能に優れる反面、アクセル開度が大きくなりやすく、走り方によって燃費が10〜13km/L台まで下がることもあります。
つまり、“燃費悪い”という評価は車の性能そのものではなく、走行スタイルによる影響が大きいのです。
静粛性・質感・操縦安定性といった面では明確にクラス上位であり、燃費面を補って余りある魅力があります。
🔹シビックの燃費悪さについて 結論(まとめ)
記事のポイント
- 「燃費が悪い」と言われるのは、一部のType Rや1.5Lターボ車など、走りを重視したグレードに限られる。
 - 現行のe:HEV(ハイブリッド)モデルは実燃費20km/L前後と非常に優秀で、クラス上位の性能を誇る。
 - セダン/ハッチバック間の燃費差は小さく、使い方に応じて選びやすい設計。
 - 高速域での安定感や静粛性、内装の質感など、燃費以外の満足度が高いのも現行モデルの特徴。
 - 総合的に見れば、シビックは「燃費よりも走りの質を選ぶ人」に最適な一台である。
 
シビックは時代ごとに進化を重ね、かつての“燃費悪い”という印象を大きく塗り替えました。
確かにType Rのような高性能モデルでは燃費より走りを優先していますが、ハイブリッドe:HEVでは燃費性能が飛躍的に向上。
さらに、走行安定性・静粛性・内装クオリティといった総合的な完成度の高さが、数値を超えた満足感を生み出しています。
つまり、現行シビックは「燃費も走りも両立する万能型」。
“燃費悪い”という言葉は、もはや過去の評価といえるでしょう。
🔹参考リンク(例)
