BMWのフロントグリルが光っている──そんな姿を街や写真で見て、「あれは純正なのだろうか?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
カスタムのようにも見えますが、実は近年のBMWには、メーカー純正でグリルが発光する仕様が用意されています。
とはいえ、BMWといえば走りや機能美を重視してきたブランド。
そのBMWが“光る演出”を採用した理由について、違和感を覚えるのも自然な反応です。
本記事では、BMWのグリルが光る仕組みや純正装備としての位置づけ、どのモデルに採用されているのかといった事実を整理しつつ、なぜBMWがこの表現を選んだのかを冷静に解説していきます。評価を急ぐのではなく、「どう理解すればいいのか」という視点で読み進めていただければ幸いです。
BMWの光るグリルは、単なる装飾ではありません。
そこには、高級車の存在感をどう表現するかという、ブランドとしての新しい答えが込められています。
本記事を通じて、その意味を一緒に整理していきましょう。
BMW グリル 光る仕様は純正?仕組みと採用背景を整理
アイコニック・グローとは何か|光り方と作動条件

輪郭が浮かび上がる設計思想|“線”で存在感を示す
BMWのアイコニック・グローは、グリル全体を発光させる装備ではありません。
発光するのはキドニーグリルの外周(輪郭部分)のみで、夜間にその形が浮かび上がる設計です。
面で強調するのではなく、あくまで線で象徴性を伝えるのが特徴といえます。
昼間は通常のグリルとほとんど変わらず、光の演出は暗所に限定されるため、日常使いで主張が強くなりすぎることはありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発光範囲 | グリル外周(輪郭) |
| 視覚効果 | 面ではなく線で強調 |
| 昼間 | 非発光で通常デザイン |
| 夜間 | 形状が静かに浮かぶ |
常時点灯ではない理由|夜間・ロック解除時に限定される制御
アイコニック・グローは常時点灯しないことも重要なポイントです。
点灯は主に夜間やロック解除時など、シーンに応じて制御されており、走行中ずっと光り続ける仕様ではありません。
これは演出過多を避けるためであり、視認性と品位のバランスを取った結果と考えられます。
- 夜間や暗所でのみ点灯
- ロック解除時に短時間発光
- 走行中は常に光るわけではない
こうした条件付きの制御によって、アイコニック・グローは想像よりも静かな演出にとどまります。派手さを前提にした装備ではなく、必要な場面でだけ存在感を示す──その前提を理解することが、この装備を正しく捉える第一歩といえるでしょう。
採用されているモデルの傾向|フラッグシップ中心の理由

7シリーズ/i7/XMに共通する立ち位置とは
アイコニック・グローが最初に採用されたのは、BMWの中でもフラッグシップに位置づけられるモデルが中心です。
代表的なのが7シリーズやi7、XMといったラインで、いずれも価格帯・車格ともにブランドの頂点を担う存在といえます。
これらのモデルに共通するのは、「移動手段」以上の役割を期待されている点です。
快適性や走行性能に加え、ブランドの象徴としてどう見られるかが強く意識されました。
| モデル系統 | 位置づけ | 求められる役割 |
|---|---|---|
| 7シリーズ / i7 | フラッグシップセダン | 威厳・象徴性・先進性 |
| XM | ハイエンドSUV | ブランドイメージの牽引 |
| 上位EV | 技術ショーケース | 新しい価値表現 |
このクラスでは、光による演出も「過剰な装飾」ではなく、ブランドを示す記号として成立しやすい土壌があります。
エントリー系に広がりにくい理由|段階的展開という考え方
一方で、エントリークラスや量販ゾーンのモデルには、アイコニック・グローが積極的に広がっているとは言えません。
これは否定的な判断ではなく、BMWが序列を強く意識するブランドであることの表れです。
まずは上位モデルで世界観を完成させ、その価値が受け入れられた段階で下位クラスに展開する。
これは試験的というより、意図された段階的展開と見る方が自然でしょう。
- いきなり全車種に広げない
- 上位モデルで“意味づけ”を固める
- ブランド体験としての序列を維持する
この進め方から分かるのは、アイコニック・グローが流行りの装備ではなく、BMW内部で明確な役割を与えられている演出だという点です。
どのモデルに載るかは偶然ではなく、ブランドの序列と思想に基づいて選ばれている。
ここに、BMWらしい慎重さが見えてきますね。
法規・車検面での扱い|純正装備としての位置づけ
純正装備としての扱い|基本的に車検で問題にならない理由
アイコニック・グローは、BMWが**メーカー純正装備(または純正オプション)**として設定している機能です。
そのため日本国内の保安基準を前提に設計されており、通常使用の範囲であれば車検で問題になるケースはほとんどありません。
重要なのは「装備の存在」ではなく、「どう作動するか」です。
前述のとおり、アイコニック・グローは常時点灯せず、夜間やロック解除時など、限定された条件でのみ発光します。
この制御があることで、灯火類としての扱いになりにくく、法規上もグレーになりにくい構造になっています。
| 観点 | 純正アイコニック・グロー |
|---|---|
| 装備区分 | メーカー純正 |
| 常時点灯 | しない |
| 法規対応 | 日本仕様を前提に設計 |
| 車検時 | 基本的に問題なし |
社外後付けとの決定的な違い|評価を分けるポイント
不安が生じやすいのは、「光るグリル=後付けLED」というイメージが先行するためです。
社外品の場合、点灯条件や光量、色味が保安基準と合致しないケースもあり、ここが純正との決定的な違いになるでしょう。
- 純正:制御条件・光量が車両側で管理されている
- 社外:常時点灯や強い発光になりやすい
- 評価差:点灯の仕方がそのまま法規評価に直結
特に、走行中に常に発光する仕様は、見た目以上に指摘を受けやすくなります。
アイコニック・グローが静かな印象にとどまるのは、点灯条件を厳密に管理しているからです。
このように整理すると、法規や車検面での扱いはシンプルです。
純正装備として想定された使い方をしている限り、過度に構える必要はありません。
不安ワードが先行しがちですが、実態は「きちんと管理された演出」に過ぎない──そう理解しておくとよいでしょう。
BMW グリル 光るデザインは何を変えたのか?価値の捉え方
存在感を「形」ではなく「光」で示すという選択

大きさや威圧感に頼らない表現としての「光」
高級車の存在感というと、車幅の広さやフロントマスクの迫力を思い浮かべがちです。
しかしBMWのアイコニック・グローは、そうした分かりやすい主張とは異なる方向を選んでいます。
強調されるのはサイズ感ではなく、輪郭だけが静かに浮かび上がる瞬間。
面で押すのではなく、線で伝える。その控えめな表現は、遠目で威圧するための演出というより、「近づいたときに気づく存在感」に近い印象を受けます。
ここに、単なるデザイン変更ではない意図が感じられますね。
夜間に限定され、見えない時間の方が長いという設計
もう一つ見逃せないのが、アイコニック・グローは使われる時間が非常に限られている点でしょう。昼間はほとんど目立たず、明るい環境では発光しない。
夜間や特定の操作時だけ姿を見せ、役目を終えれば消えていきます。
つまり、光っている時間よりも光っていない時間の方が圧倒的に長い装備です。
この前提があるからこそ、日常の中で過剰な自己主張になりにくく、所有する側も構えずに付き合えます。
このように整理して見ると、アイコニック・グローは「目立たせるための装備」ではありません。
存在感を常に誇示するのではなく、必要な場面でだけ静かに役割を果たす。
その距離感こそが、この装備の本質でしょう。
結果として、BMWの存在感を前に押し出すのではなく、そっと補強する位置づけに収まっている。そう捉えるのが、実際の使われ方に最も近い理解だといえます。
従来のBMW像とどう違うのか|変化ではなく更新

走りのブランドであることは変わらない
まず前提として押さえておきたいのは、BMWが「走りのブランド」であること自体は何も変わっていないという点です。
ステアリングフィールや車体バランス、ドライバー中心の設計思想は、現行モデルでも一貫しています。
アイコニック・グローの採用によって、走行性能や車の性格が別物になったわけではありません。
つまりここで起きているのは中身の変質ではなく、外から見える部分の整理・追加に近いものです。走りというコアを残したまま、別の伝え方を上乗せしている。そう捉える方が実態に合っています。
価値表現のレイヤーが増えたという考え方
これまでのBMWは、走らせたときの感覚や操作性といった「体験そのもの」で評価される場面が多いブランドでした。
一方、アイコニック・グローは、走り出す前・降りた後といったシーンにも意味を持たせる装備です。
これは価値の軸が入れ替わったのではなく、レイヤーが一段増えたと考えると分かりやすいでしょう。
従来の評価軸に加えて、「どう見えるか」「どう記憶に残るか」という要素が補助線として引かれた。その結果、BMWの見え方に幅が生まれています。
ベンツ的演出との違い|思想の置き所が異なる
光を使った演出という点で、しばしば比較対象になるのが メルセデス・ベンツ です。
ただし、両者の思想は似ているようで異なります。
ベンツは室内外ともに“空間全体を演出する光”を重視する傾向がありますが、BMWのアイコニック・グローは限定的で象徴的。
常に視界に入る演出ではなく、条件付きで輪郭だけを示す。
その差は方向性の違いというより、主張の置き所の違いといえます。
こうして整理すると、アイコニック・グローはBMWにとって「方向転換」ではありません。
走りを軸にしたブランドであることは維持したまま、価値の伝え方を一段更新した。
この理解に立つと、装備の位置づけが過度に大きく見えすぎることもなく、冷静に受け止められるはずです。
この装備をどう捉えるべきか|向き合い方の整理

必須ではないという前提|気にしない選択も正しい
まず大前提として、アイコニック・グローはBMWを選ぶうえで必須装備ではありません。
走行性能や快適性、日常の使い勝手を左右する要素ではなく、あくまで外観表現の一部にとどまります。
そのため装備の有無を深く気にせず、従来どおりのBMW像を重視する選択も自然です。
- 走りや操縦感に直接影響しない
- なくてもBMWとしての完成度は変わらない
- 「光らない方が落ち着く」と感じる人も当然いる
この装備を選ばないことは、消極的な判断ではありません。
自分にとって不要な要素を切り分けているだけ。
それも立派な選び方なのです。
世界観ごと受け取る人には意味がある|選択の自由を肯定する
一方で、アイコニック・グローに価値を感じる人がいるのも事実です。
それは目立ちたいからではなく、BMWが提示している世界観や空気感まで含めて受け取りたいと考えるからでしょう。
夜間にだけ現れる輪郭の演出、控えめな点灯条件、日常では姿を消す振る舞い。
その在り方に納得できるかどうかが分かれ目になります。
- 夜の佇まいまで含めてデザインだと感じる
- フラッグシップらしい象徴性に意味を見いだせる
- 「必要性」より「在り方」を重視したい
どちらが正しい、という話ではありません。
アイコニック・グローは、選ぶ自由と、選ばない自由が最初から並立している装備です。
そう整理すると、この機能は評価を迫る存在ではなく、BMWとどう付き合うかを考えるための“補助線”に過ぎないことが見えてきます。
BMW グリルが光る理由とは?まとめ・結論
記事ポイント(要点整理)
- BMWの光るグリルは**純正装備(アイコニック・グロー)**として設計されている
- グリル全体ではなく輪郭のみが条件付きで発光する控えめな演出
- 常時点灯ではなく、夜間やロック解除時など限定的なシーンで作動
- フラッグシップモデル中心の採用は、ブランドの序列と思想を反映したもの
- 必須装備ではなく、選ばない自由も前提に成り立っている
総括・結論
BMWのグリルが光る理由は、「目立ちたいから」ではありません。
高級車としての存在感を、音量やサイズ、威圧感といった分かりやすい手段ではなく、光という静かな要素で表現し直した結果だと整理するのが最も自然です。
従来のBMWが大切にしてきた「走りのブランド」という軸は変わっていません。
変わったのは、その価値をどう伝えるかという表現の部分です。
走らせたときの体験に加え、夜の佇まいや一瞬の視覚的印象といった、新しいレイヤーが加わった。その更新が、アイコニック・グローという装備に表れています。
一方で、この演出の意味や背景を理解したうえで選べば、後悔につながりにくいのも事実です。
世界観まで含めて受け取れる人にとっては、確かに意味を持つ装備になるでしょう。
結論として、BMWは「主張を増やした」のではありません。
表現の方法を更新しただけです。
光るグリルは、その変化を象徴する一要素に過ぎず、評価を迫る存在ではない。
そう捉えることで、この装備は「新しい車の魅せ方」として、静かに腑に落ちてきます。
参考リンク
BMWアイコニック・グローとは?対応モデル・特徴まとめ(BMWディーラー解説)ヤナセBMW公式
